色のこと。わかりあったり、あわないこと。
こんにちは。
「ぶろっく、色盲なの?」
ときどきそんなことを言われる。職場でね。
まあ、そういう呼ばれ方をしていた時代もあったわけですし、別にそれで差別しようっていうんじゃないので、個人的には気にしません。個人的にはね。あくまで、個人的には。
……結局、今は何て呼ぶの?
まあ、さておき。
私は(自分の知っている言い方で言えば)いわゆる「色覚異常」なので、人と見え方が違うことが、多々ある。
とはいえ、みんなが見え方が違う中で、その中のある境で線引きをしただけの話なので、私だけが違うんじゃなくて、私の感覚で言うと「目が悪いから前に座りたい」「背が低くてジェットコースターに乗れない」とか、そんなのが近い。
実際にはもっと、いわゆる「正常色覚」に近い人もいて、そんな方は「見え方はほとんどほかの人と変わらないのに、そういう診断を受けた」っていう人もいる。
反対に、私よりも色を受け取るのが苦手な人もいる。
……というのも、まあ本題じゃなくて。ひとくちに言っても色々な人がいるよっていうだけのお話ね。
で、本題。
「青信号は何色に見えるの?」
「白です」
これ。
青と緑っていうのは、同系の色らしい。
「らしい」っていうのは、調べていないからわからない、とかではない。いくら私だって、青と黄の絵の具を混ぜれば緑だって、そのくらいは知っている。
そうじゃなくって、普段は光の三原色を意識しすぎて「赤」「緑」「青」が色、という印象が先行している。だから緑と青は重ならないで、別の色としてきっぱり脳が区別している……のだと思う。
脱線しがちだけど、そうそう、青信号の話だ。
青信号、つまり淡いグリーンの光だけれど、私にとっては白信号だ。
だって、緑を受け取る力が弱いから。緑の光から緑を感じる力が弱まると、たぶんそういう光のバランスでもって、白く見えるんですな。
だから小さいころから「白いのが青信号」っていうのは、私の中では常識だった。
みんな、「緑が青信号」ってわかるでしょ。おんなじこと。
ちょっと難しいな、と思うこと。
「じゃあ青と白は同じ色に見えるのか」と言われると、そんなことは決してない。
でも「緑と白は同じ色に見えるのか」というと、信号に限らず、ごくごく薄い緑は白に見えたりする。
その違いって……どうやって説明したらいいんだろう。
私にとっては、青と緑は全く違う色だ。サーモンピンクと青紫くらいには違うと思う。
でも、その人にとっては藍色と紫くらいの違いなんだと思う。(いや、別に人それぞれのこの例えを聞きたいわけじゃない。聞いてもわからないからね。)
そうすると……緑と白が同じに見えることがあったら、青と白が同じに見えることもあるんじゃないかと想像するのは、まったく不自然なことじゃないんですよね。
私にとっては「そんなわけない、私は赤と緑の中程度の色覚異常だから、青は特に識別に困らない」のだし。あ、でも水色と桃色は区別に困るんだけどね。主に桃色側の理由で。
とはいえ……この感覚を人に説明するの、きわめて難しい。し、めんどうくさい。
私はほら、自分がどういうときに見えづらいかって分かっているから、必要に応じて助けを求める。危険を察知するのだって、色以外にたくさんシグナルを見つけられる。それに、「どう見えるの?」も聞きなれているから、大体は答えられるけど。
「こう見えるんでしょ?」と言われて、違うと答えても、いまいち納得が得られない。かといって、立ち話で1から色の受容について解説するのも憚られる。なんてとき、どうしたらいいのか、とても困る。
こういうとき……「相手が違うものを見ている」というとき、大切なのは「こうなんだろう」と決めてしまわないことかな、と思う。
もちろん、想像することは大事。私がどんな妙な世界を見ているのか、想像していただくのは大いにかまいません*1。
でも、それ以上に「そうじゃないんだよ」っていうときに、違うって言っているのに、「え、でもそういうことでしょ?」なんて言われても、何て言っていいか困ってしまう。
違うもんは違うけど、「そうなんでしょ?」っていうことは、まずはその誤解を解かないといけない。でも違うっていう説明をしても「とはいえ、そうなんでしょ?」となるのは正直見えていて……そんな、ひどい。
私自身は、自分が困らない限り*2は誰かに物の見え方を説明する必要もないので、仕事で必要な時と焼き肉を食べる時、あとはアニメを見るときくらいしかそんな話をしない。
でも、もし自分のものの見え方を知りたいと思ってくださる人がいたら……隠すことでも困ることでもなし、むしろ助けてくださる方だなって、喜んでお話をする。
聞いていただく分際で……という思いももちろんあるのだけど、その上でわがままな言い方をすると、「知識のないことを決めつけで聞き始めないでほしい」と思う。
そういえば、最近「わからないことをわかったつもりでやるんじゃない」と言われることが増えた。自分では見て聞いて理解したはずが、実は相手は全く違うことを伝えたかったらしい……という。つくづく、価値観の違う相手と言語情報をやり取りするのは難しい。
ただまあ、せっかくこういう「人と違う視界」みたいなネーミングの個性をもっているので、わかりあうってどういうことかな、というのは考えながら、日々いろいろ考えていたいな、と思うのでした。